コラム9杯目 旦_(・o・;)

「最強の審判」は人間か、AIか? ── アルバニアの新しい挑戦と、私たちのアタリマエ

皆さんは「もしも、この国の政治家がAI(人工知能)だったら?」と考えたことはありますか? SF映画のような話ですが、ヨーロッパのバルカン半島にある国、アルバニアでそれが現実になりつつあります。

エディ・ラマ首相が発表したのは、なんと「公共入札(こうきょうにゅうさつ)」を担当する大臣のような役割をAIに任せるというプロジェクトです。

公共入札とは、国が橋や道路を作るときに「どの会社にお願いするか」を決める大事な手続きのこと。これまでは人間が選んでいましたが、これからはAIが「この会社が一番良い!」と判断することになります。目的はズバリ、「汚職のない国にするため」です。

でも、ちょっと待ってください。「AIが大臣になる」って、AIが人間のように悩んだり、正義感に燃えたりするということでしょうか? 実は、少し違います。今日はこのニュースをきっかけに、AIの「本当の姿」について、皆さんが普段遊んでいるゲームを例に考えてみましょう。


AIは「魔法使い」ではなく「超高速なゲームプレイヤー」

AIと聞くと、まるで心を持ったロボットのように感じることがありますが、その中身はとてもシンプルです。実は、皆さんがスマートフォンやテレビゲーム機で遊んでいる「ゲーム」の仕組みとよく似ています。

例えば、RPG(ロールプレイングゲーム)を想像してみてください。 「攻撃力が高い剣」と「防御力が高い盾」を持っていれば、決まった計算式に基づいて、敵に勝つことができますよね。そこに「敵がかわいそうだから手加減しよう」とか「今日は気分が乗らない」という感情はありません。

ルール:「攻撃力 - 防御力 = ダメージ」

この決まったルールの中で、瞬時に計算して結果を出す。これがプログラムであり、AIの基本です。 アルバニアのAIも同じです。「袖の下(ワイロ)を渡してくる会社」や「親戚が経営している会社」といった、人間特有の「しがらみ」は、プログラムされたルールの中に存在しません。

  • 人間の場合: 「この会社、社長が知り合いだしなぁ…少し高くてもここに発注しちゃおうかな」という迷い(や誘惑)が生まれるかもしれません。
  • AIの場合: 「価格は安いか? 技術力はあるか? 過去の不正はないか?」というルール(条件)だけを見て、0.1秒で判定します。

つまり、AIは「絶対に空気を読まない、ルールブック通りの審判」なのです。

「道具」としてのAIにできること、できないこと

「じゃあ、AIに任せれば世界は平和になるの?」 そう思うかもしれませんが、ここで重要なポイントがあります。それは、「ゲームのルールを作るのは、あくまで人間」だということです。

AIは「道具」です。素晴らしい大工道具があっても、設計図が間違っていたら家は傾いてしまいますよね。AIも同じで、人間が設定した「枠組み」や「学習データ」の中でしか選択できません。

もし、人間が悪意を持って「特定の会社が勝ちやすくなるルール(プログラム)」をこっそりAIに組み込んでしまったら? AIはその通りに動き、ものすごいスピードで「不公平な判定」を繰り返すでしょう。 また、過去のデータに偏り(バイアス)があれば、AIもそれを「正解」として学習してしまいます。

アルバニアの挑戦が面白いのは、AIを「神様」として崇めるのではなく、「人間だとどうしても発生してしまう『欲』や『甘え』を断ち切るための『フィルター(ろ過装置)』」として使おうとしている点です。

私たちがこれからAIとどう付き合うか

human and robot shaking handsの画像

生成AIで作成したイメージイラスト

このニュースは、私たちに一つの問いを投げかけています。 それは、「AIは人間より偉いのか?」ではなく、「私たちは、AIという道具をどう使いこなすか?」ということです。

学生の皆さんが宿題でAIを使うときも、大人が仕事でAIを使うときも、基本は同じです。AIは、私たちが設定した枠の中で、私たちの代わりに選択肢を提示してくれる便利なパートナーです。

  • ルールを作るのは人間。
  • そのルールの中で最善手を探すのがAI。
  • そして、その結果に責任を持つのも人間。

アルバニアの「AI大臣」が成功するかどうかは、AIの性能そのものよりも、それを管理する人間たちが「どれだけ公平なルール(プログラム)を作れるか」にかかっていると思います。

まるで、ゲームバランスを調整するゲームデザイナーのように、私たちはこれからの社会のルールを丁寧に設計していく必要があるのです。そう考えると、少しワクワクしてきませんか?

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